【前回のあらすじ】
恐怖の極太ドレーンとも決別し、あさっての退院が決定。なかなかの順調である。
▼病室での過ごし方
だいぶ体調がマシになってきた。
痛み止めの薬も、飲まなくても大丈夫な時間が伸びてきた。
また、お昼寝の頻度が減ってきてはいたが、あまり動き回れないのでおのずとベッドで過ごしていた。
正直ヒマである。
部屋には有料のテレビが備え付けてあるが、どう考えても危険でしかない。
急に面白いことが起きて大爆笑なんて時には、お腹の傷が痛くなってしまう…!
また、iPadも万全に用意して持ってきたが、映画を見たり本を読んだりする気分にはなれず、ぼんやりとスマホでネットサーフィンしたり、パズルゲームに勤しんだ。
そのせいか、同じ部屋の患者さんたちの声が浮かび上がって聞こえてきた。
ちょうど看護学生が研修に来ていて、空いた時間に患者さんの話し相手を買って出たりしていた。
初々しい看護学生が雑談を患者さんに振っていく。
カーテン越しで姿は見えないが、私にもその音が流れてきてまるでラジオの様だった。
ななめ向かいのおばあちゃんは、お孫さんと一緒に二世帯住宅にお住まいで、「いま人生で一番幸せなのよ」と語っていた。二世帯住宅のコツは、玄関を分けないことらしい。
隣の物静かなお姉さんは、IT系のお仕事をされているんか。賢そう。
向かいのおばさんは、声にドスが効いていてまるでディズニーの悪い魔女みたい。笑
体調不良からかご機嫌斜めな日もあるが、担当の看護師さんが明るいパワー全開のオカンタイプが来た時は釣られて声が明るくなってるなあ。
同じ部屋に1週間近くいながらも、顔見知りにまでもなれてない感じだったが(私があまり動けないせいもあり)、なんだか身近に感じて勝手に応援をしたりしていた。
そして、この日の夜には推しアーティストのラジオ出演があった。
いつもどおりの爆笑トークを噛ましてくれたので、お腹の傷がちょっと痛んだ気もするが、とても気分が回復した。
ついに、あさって退院か…。
退院したら焼き肉を食べに行こう。あと、お寿司も。それに、旅行も温泉も行きたいなあ。
そんな楽しいことばかりを思い描いていたら、いつの間にか眠りについていた。
▼手術後4日目の朝
朝6時。鳥のさえずりが聞こえる。
いつもの起床時間がやってきたが、今日は何かがおかしい。
ものすごく身体が重い…
起き上がるどころか、手足も全く動かないのである。
身体がベッドにのめり込んでるんじゃないかってくらい重い。
まさか寝てる間に、手足を固定されたんじゃないだろうか?
ガリヴァー旅行記みたい!!
電動ベッドで少しずつ体勢を起こすが 、身体とベッドがくっついている。
体調が悪く、気分もサゲサゲである。
そこに看護師さんがやってきて体温と血圧をチェックされる。
げっそりとしたテンションで迎え撃つ。
いつもどおり、低血圧が原因っぽい。
7時に朝食が届くも放置。
据え膳食わぬは…状態であるが、動けないから食べる元気もない。
朝の回診でA先生やってきた。
体調悪いっす、と伝えると「そうみたいですねぇ」と言っていつの間にかいなくなっていた。
昼に近づけば体調が良くなるかなと思っていたが、それほど回復はしない。
ちょうどやってきた看護師さんに、低血圧対策としてお水をたくさん飲むことを勧められた。
そういえば、入院時に買い込んでいたペットボトルの在庫がなくなってきたので、あまり飲んでいなかった。
必死の歩行で自動販売機までたどり着き、水分を浴びるほど飲んだ。
すると、数時間後にはいつもどおりの体調に戻っていたのだった。
水分をちゃんと摂らないと
人間は動けないんだなぁ
さくを
【次回】
ついに売店までの長旅達成!牛乳寒天を巡る争いが勃発!?さらに、硬膜外麻酔とのラストバトルも…!?
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