【前回のあらすじ】
体調バッチシからの一転!朝起きたらガリヴァー状態になるも、水を飲んだらケロリと元気になる。水分補給大事。
▼売店までの長旅
水分補給のおかげ あって、午前の体調不良がウソのように晴れた。
だが、明日もう退院だというのに歩くのは未だよちよち状態。
しかも、本業としては役目を終えている点滴スタンドを”歩行器具”として使わないとまともに歩けなかった。
これはマズイ…
歩行距離を伸ばすぞ!
今まで歩いて行った場所と言えば、ベッドから徒歩30歩のトイレ、さらに徒歩60歩の自動販売機だけである。
そうだ、売店に行こう!
売店までの道のりは、大病院のため果てしなく遠い。
病室は8階にある。まずエレベーターまで行って1階に降り、さらに総合受付の横を通り、長い廊下を抜けた先に売店はある。
だいたい、300歩くらいだろうか。
元気な人が普通に歩いても3〜4分位はかかる道のりだと思う。
よちよち歩きの私ににてみれば、大冒険である。
よっしゃ!クリアしたる!!
お財布をサコッシュに入れて、首から下げる。
相棒の点滴スタンドにすがるようにして立ち上がる。
まず病室のドアを抜け、ナースステーション、そしてトイレを横目にヨチヨチと進む。
当初から比べたらだいぶ歩けるようになったが、普段の歩きと比べたら1/6くらいのスピードだ。
身体がうまく動かない分、点滴スタンドに体重をかけキャスターのコロコロを利用して前に進む。
やはり少し息苦しさがあるなあ。
でもまだまだ歩ける。
エレベーターに到着し、1階へ。
いつもなら人で溢れかえっている総合受付だが、本日は土曜のためおやすみ。
日中なのに薄暗い院内を進んでいく。
途中、待合用のベンチがいくつも置いてあったが、ひとまずは我慢。
もう、半分くらいまで来ている。
ついに、ラストコーナーの廊下の直線コースへ。
ここを抜ければ、売店だ。
息苦しいし、身体の重みもあるけど、なんとか行けそう。
ファイオッ
ファイオッ
ファイオッ
歩みはヨボヨボしているが、心の中の掛け声で奮起する。
ゆっくりでもいい、前に進んでいればいつか到着する。
ファイオッ…
ついに売店のコンビニに到着したぞ!
セブンイレブン、
いい気分である!!
小さな売店だがるんるん気分で入店し、 商品を物色する。
すでに食事制限が解除されているので、好きなお菓子だって食べちゃっていいのだ。
ぐるぐると店内をねぶり歩きながら、シャバの空気を堪能する。
チョコにするか、ポテチにするか、はたまたお煎餅か…。
いや!これはデザートコーナー1択だ!!
セブンイレブンといえば、私が大好きな「たっぷりみかんの牛乳寒天」が売っているのだ!
社畜時代、この牛乳寒天を毎日買い込んでは仕事の合間に食べていた。
あっさりとした甘みと牛乳の優しい味が広がる寒天、そこにさわかなみかんの酸味が絶妙に組み合わさるという極上の逸品なのだ。
病み上がりの身体を労るにも最適ッ!
私は、ヨチヨチヨチ!と冷蔵庫のデザートコーナーへ急いだ。
すると、そこにはすでに先客の女性がデザートを吟味していた。
中年の御婦人はアウターを着用しているので、さしずめ誰かのお見舞いの差し入れを購入するのだろう。
デザートを真剣に選んでいる。
コロナの影響で面会もできないから、入院患者にとっては差し入れは最大限のお楽しみだ。
すると御婦人は、牛乳寒天を手にとった。
わかってますね!
それ、めっちゃ美味しいヤツです!
差し入れされる人も、スゴイ喜ぶと思いますよ!!
と、思っていたら、
牛乳寒天をどんどんカゴに入れていく。
2つ目、3つ目…、いやまさか、
どんだけ食べさせる気だよ!!
さらに、4つ目を手に取り、カゴに放り込んだ!!
ちょ、待てよ!!
もちろん、心の声である。
4つも牛乳寒天を買う人が目の前にいるとは、全くもって想定外だった。
いや、もしかしたら差し入れされる患者さんも、大変な病気と闘っていて、唯一の楽しみがこの牛乳寒天なのかもしれない。
せっかく15分くらいかけて必死に売店まで歩いてきたけど、仕方ない。
明日退院だから、退院したらいくらでも食べれるぞい。
大量の牛乳寒天を抱え、颯爽と去っていく御婦人を見送る。
念の為、ショボショボとデザートコーナーを覗き込む。
あっ!
棚の奥に1個残ってた!!
わーい!と握りしめ、すぐレジでお買い上げした。
しかし、喜びとともにドッと歩いた疲れが出てきてしまった。売店前のベンチで10分くらい座って休んでからヨチヨチと時間をかけて病室に戻っていった。
牛乳寒天って、やっぱ美味い。
【次回】
ついに、硬膜外麻酔との決別の時が来た…!!さよならなんて、悲しいこと言うなよ…
◼ランキング参加中◼
↓押してくださると舞い踊って喜びます↓