【前回のあらすじ】
手術後、深夜の病室。鳴り響くナースコールに痛みにうめく声が漏れ聞こえてくる…。怖E!
日中ずっと寝ていたため、就寝時間になっても全く眠くならなかった。
手術を終えて10時間経ったが、痛み止めがよく効いていて体調も悪くない。
暗闇の中で、ぼんやりと時間がすぎるのを待っていた。
だがしかし、手術直後の夜が一筋縄でいくはずがない。
カーテン越しに、痛みに耐えきれず漏れ出した声が聞こえてくる。
同部屋の3名の患者さんも、きっと今日手術をしたのだろう。
数十分おきにナースコールが鳴りつづけ、駆け寄ってきた看護師さんが対応する音が聞こえる。
隣の女性は気持ち悪さと吐き気を、向かいのおばあさんは耐えれない痛みを訴えていた。
みんな頑張って病気と戦っているんだ…。
どうやら、この部屋の中で自分が一番元気みたいだ。
痛みも思いの外感じず、気分も全然悪くない。
手術の内容も、筋腫さえ取ってしまえば回復する一方だし、年齢的に基礎体力もある。
でも例えばこれが、命が助かるかも分からないような重病だったり、手術がうまくいくか分からないような難病だったら…?
痛みや恐怖どころじゃない、想像を絶する不安にも襲われるだろう。
この大きな病院にはそんな重病の患者さんもいっぱいいる。
そして、そんな患者さんをひとりひとり対応する看護師さんやお医者さんは本当に大変だ。
そう考えたら、まだ元気な自分はなるべく早く回復して負担にならぬように頑張らねばなぁ。そんなことを考えていたらいつの間にか眠りについていた。
▼手術翌日 AM6:00
朝日がのぼり、病室に光が差し込む。
暗闇と喧騒に包まれた病室が明るくなり、それだけで少し気分が楽になった。
目覚めてからもお腹の痛みはなかったが、不思議なことに右肩とアバラ骨が痛くなっていた。 激しい運動した翌日の筋肉痛みたいな、打撲のような痛み。
痛みLevel 3
痛みはあるが、我慢できるタイプの痛さ。
あとで執刀医の先生に聞いてみた所、どうやら腹腔鏡下手術の時にお腹をガスで膨らました影響で痛む時があるらしい。なるほど。
▼手術翌日の生活
食事は、手術翌日の朝食から再開される。
量はいつもの半分くらいで、おかゆメニューだ。
昨日は何も食べていないのでお腹は空いていた。
おかゆを梅干しでかきこむ。ちょっと味気ないので持参したのりたまのふりかけを追加して無事完食。
厚切りの牛タンが食べたいと思った。
▼苦難のリハビリ開始
手術で痛いだのツライだのずっと言っていると、身体が動かなくなってしまう。
そのためプログラムでは、手術翌日から歩いてトイレに行く、となっていた。
翌日に歩行だなんて、超ドS設定…!
さっそく看護師さん立ち会いの元、歩く練習が行われる。
じっとしていれば調子が良いけど、身体をうまく動かすことはできない。
お腹の手術後なので腹筋を使うのが痛怖く、起き上がるときには電動ベッドを利用して少しずつ角度をあげていく。
あとは、手の力と足先でちょっとずつ動かして、胴体を移動するのだ。
ベットに腰掛ける姿勢になるまでかなり時間はかかったが、
強い痛みもないし、食欲もあるし、まぁ余裕っしょ?
点滴のスタンドを掴み、腕の力を使ってゆっくり立ち上がる。
あ゛〜〜〜〜ッ!無理!無理!無理ィ!
めっちゃ気持ち悪ッ!!
ズン!と全身が重くなり落ちるような感覚がした。
吐き気がする。息が苦しい。
顔が真っ青なので、看護師さんが急いでベットに座らせてくれた。
どうやら血圧が低すぎて、立った瞬間にやられたようだ。
まさかここに来て、低血圧が悪さするとは…
ベッドで横になり、気持ち悪さをこらえる。
余裕と思いながら、立つことすらままならなかった。
ひどいヘタレっぷりである。
結局この日の歩行練習は、1回で終了となった。チーン。
【次回】
トイレまでの道のりは30歩!いつになったらたどり着けるのか!?
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